nori1104の日記

旅行とか展覧会の感想とか

2019年8月 北海道・日高の旅⑦ 浦河の町、シルバーフェリーで八戸へ、三陸海岸

前回:

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浦河に着いたのはちょうどお昼どき。

お昼は相互の方が話題にしていたパン屋さんでパンでも買おうかと思っていたのですが、あいにく訪問時は翌日のイベント準備で臨時休業。

 

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代わりに近くのそば屋「長寿庵」で天丼セットをいただく。

 

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来た道を少し戻って、浦河町立郷土博物館を訪ねる。

 

入り口には32頭のサラブレット像を乗せた「優駿の門」が聳え立つ。

 

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まずは郷土博物館の横に建つ「馬事資料館」へ。

 

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館内の様子。正面の大きな写真は、1985年の二冠馬(皐月賞菊花賞ミホシンザン。とても目を引くパネルだけど、解説文の戦績が「昭和61年10月現在」、〆には「今後の活躍が期待される」…33年間そのままなのかな…

 

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展示の最初は馬の起源と進化、そして浦河の馬産の歴史についての解説。
展示解説によると浦河での馬産は安政4年(1857年)、徳川幕府によって荻伏に牧場が開かれたのが始まり。明治40年(1907年)には軍馬改良を目的とした日高種馬牧場が開場。特にサラブレッドの生産が盛んに行われるようになったのは昭和12年(1937年)に英国産種牡馬セフトが輸入されてからで、産駒からトキノミノルはじめ数多くの名馬が誕生。昭和39年(1964年)には浦河産馬シンザン三冠馬を達成するなど、「馬産地浦河」の地位は揺るぎないものとなっていきました。

 

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変形蹄や病気の際に装着される特殊蹄鉄。こういう蹄鉄が必要な状況を考えるとちょっと痛々しさが。

 

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 相馬野馬追に関する展示物も目を引きました。町内には相馬中村神社から分霊を受けた神社も残されている様子。

 

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あとは浦河が産んだ名馬たちの展示。

展示室の真ん中に鎮座するのは、大種牡馬ヒンドスタンの剥製。

イギリス生まれで、現役競走馬時代には1949年のアイリッシュダービーを制覇。1955年に日高軽種馬協会が購入し浦河町の荻伏種馬所で共用開始。以降1968年に死亡するまでにリーディングサイアー7回。特に五冠馬シンザンの父として知られています。ちなみに心臓も別にホルマリン漬けにされて展示されていました。

 

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浦河が産んだ最大の名馬、という事でシンザンの扱いは特に大きい。この写真はヒーロー列伝にも使用されたやつですかね。

 

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有名な「シンザン鉄」も展示されています。

 

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シンザンを題材にしたレコードとか切手とか。「シンザンフェスティバル」は今でも回を重ねて毎年続けられているらしく(2020年は中止)、とにかくシンザンの偉大さというものを感じさせられます。

 

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シンザンに次いで扱いが大きいのはメジロマックイーン

 

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パネル展示でも浦河産の名馬が数多く展示されていて、テイエムオペラオーミスターシービー、クライムカイザー、トウショウボーイホクトボーイカツラノハイセイコ綺羅星のごとき名馬達ではあるのだけれど、ノーザンホースパークあたりの展示と比べるとちょっと時代を感じてしまうのも確か…。とはいえ、各時代の名馬たちの姿を改めてみることのできる展示もこれはこれで良いものかも。

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最近の活躍馬だとイスラボニータホッコータルマエストレイトガール、インティ等が浦河産。

 

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他にはトロッター競技用の馬車、日高種馬牧場で使用されていた迎賓馬車(明治31年製)などが目を引いた。

全体的に展示がかなり古いけれど、入場無料だし競馬好きなら訪れて損はない施設ではないかなーと。5年も経てば世代が一巡してしまう競馬の世界を、博物館で展示するのは難しさもあると思いますが、今後も(ちょくちょく更新しながら)展示し続けてほしいです。

 

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続いて浦河町郷土博物館へ。こちらも入館料無料。

 

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建物は廃校を活用したもので、今回訪れた博物館の中でも特に年季の入った感じ。中に入るといきなり展示とも学校備品ともつかないモノの数々が出迎えてくれる。

 

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この馬の頭はかけっこにでも使ってたのかな…

 

 

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自然展示。この剥製群の圧。

 

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アイヌ関連の展示。このシトペラは文様が綺麗。

 

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開拓の時代。

浦河での開拓は明治4年(1871年)に九州の天草・大村から45戸167人が入植したのが始まり。明治14年には(1881年)に兵庫・岡山を中心とした会社組織の移民である赤心社の一行が荻伏に入植。大農具を取り入れての営農に成功し道内でも模範的な存在になったとのこと。

上の写真で紹介されているのは明治34年(1901年)から浦河支庁長を務めた西忠義。その在任期間中に日高種馬牧場の開場や交通の整備・産業奨励・図書館設置などに尽力し、日高開発の礎としてたたえられたとのこと。

 

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とにかく展示物で敷き詰めようという気概を感じる。

 

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増産!!増産!!

 

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漁業展示。イカ釣り具は初めて見る気がする。

 

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林業、漁業に狩猟の道具。

この辺りは旅の疲れが溜まってたせいもあってあまり印象に残ってない…

 

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見学を終えて館の外へ。敷地内の一角には1985年に設置されたタイムカプセルが。門別でも見たけどこっちは2015年に開封済だった…もう来ちまったんだな、未来が…。

 

郷土博物館を出て、左右に牧場が広がる道を北上。

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日高育成牧場を眼下に臨める「JRA展望台」に上ってみる。

 

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展望台からの遠景。

 

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ズームで望遠すると所々に馬の姿が。

そんなに長居するような場所でも無かったので次の目的地へ。襟裳岬とかすぐ出発したこともあって時間が余ってきた...という事で、当初は訪問する予定のなかった「うらかわ優駿ビレッジAERU」に行き、引退馬に会いにいくことにする。

 

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厩舎訪問用の駐車場に車を停め、事務所にいたスタッフの方に一言挨拶した後、厩舎を訪問。
引退名馬たちが繋養されている厩舎は、外観は明治40年に建設された日高種馬牧場・第一牝馬厩の外装が再現されており、内装の一部には材料が再利用されています。

 

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見学時は放牧中だったので厩舎は空。ファンから送られたお守りの数々が目を引く。

 

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厩舎の一室が引退名馬の資料館として公開されていた。

 

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厩舎の前では調教の真っ最中。

 

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引退名馬のもとへ。

 

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ウイニングチケット。1993年のダービー馬。

 

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背中の落ち窪み具合なんかは年齢を感じさせるけれど、肌のツヤはあってまだまだ元気そうな印象。

 

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写真を撮ってたらのっそのっそと近づいてきてくれた。ニンジンも持ってないのにサービスいいなー、と思ってたら目の前でボトッボトッとボロ落とされた。

1993年の牡馬三冠を分け合ったナリタタイシンビワハヤヒデは2020年に相次いで死亡。チケゾーはもう少し長生きして欲しいです。 

 

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こちらはタイムパラドックス。 入厩したてという事で御触りNG。

ここに繋養されているタイムパラドックススズカフェニックス、毛色も頭の流星(白斑)もそっくりでパッと見では全然区別つかない。 上の写真がタイムパラドックスだというのは覚えているんだけど、

 

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こっちがどっちなのか、今では思い出せない…

 

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引退名馬以外にも乗馬用と思しき馬が何頭か見られました。ブチ毛の馬が可愛い。

 

AERUの後は谷川牧場へ*1

 

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事務所で牧場の方に許可を貰い、まずはシンザン像を見学。

 

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シンザン像の周りには、タケホープミホシンザン等、谷川牧場で生産・繋養された名馬の墓が並ぶ。

 

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武田文吾元調教師の手による碑文にある通り、浦河で馬産が続く限りシンザンの名は不滅だろうと思う。

 

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訪問当時は1994年のオークス馬:チョウカイキャロルも見学可能だった。遠くで複数頭で固まっていたので写真ではあまり良く判別できないけれど…。牝馬は引退しちゃうとなかなか見学できないので、繁殖引退後にこうして見せていただけるのは本当に有難いですね。チョウカイキャロルも2019年9月に死亡、最初で最後の訪問になりました。

 

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まだちょっと時間があったので、市街地にある浦河神社を参拝。

 

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寛文9年(1669年)に松前藩士により建立された金刀比羅大権現、享和元年(1801年)に浦河の場所請負人によって伏見より勧請された稲荷大明神、文化4年(1805年)に浦河周辺を守備していた南部藩により厳島神社から勧請された天女宮殿浦河大明神の三社を、天保13年(1842年)に漁場支配人の近江屋周助が合祀したもの。現在の名前に改称されたのは昭和6年(1931年)。神社の歴史がそのまま商場知行制→場所請負制→幕府直轄時代という「蝦夷地」の歴史をなぞるようで面白い。

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神社から町や海が一望できるかな…と思ったのが参拝の動機でしたが眺めはそれ程。浦河の町は道路拡幅の影響なのか、沿線の建物が皆真新しい感じなのが印象的。

 

 

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ちょっと途中グダグダになりかけたけれど、いよいよ旅も終盤。昨日きた道を苫小牧目指して引き返す。

 

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荻伏でちょっと寄り道。明治21年1888年)建造の赤心社記念館(旧赤心社事務所)の外観を撮影。

 

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なんでもない景色が名残惜しい。

 

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 途中、新冠の道の駅で休憩。

 

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元祖アイドルホース・ハイセイコー像。

 

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道の駅の周りには中央G1を制覇した新冠産馬および生産者を讃える碑が並ぶ。じきにこれにコントレイルが加わるのか。
 

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道の駅でお土産を買い、併設されたレ・コード館の展望台に登る。

 

 

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地元の高校生が勉強している展望台の中で、日が傾く新冠の風景を惜しむように写真に収めた。

 

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厚賀からは高速道路を使って、18時まえにフェリーターミナルに到着。

 

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帰りは太平洋フェリーではなく、八戸までを結ぶシルバーフェリーを使用。19時半搭乗開始、21時15分出航なのでまだまだ時間的余裕がある。

 

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フェリー搭乗を待つトラックの屋根を撮影。これは…

 

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ターミナルのレストランで夕飯。

商船三井太平洋フェリーシルバーフェリーの3隻が並ぶ。

 

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さんふらわあ」と「きたかみ」を見送る。新造船の「きたかみ」はかなり速く感じた。もし帰りも太平洋フェリー使ってたら「きたかみ」で往復することになってたんだなー。

  

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いよいよ搭乗。

 

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帰りも大部屋ではなく2等の個室を予約。

 

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出航までの時間で入浴を済ませ、しばし船内を散策。内装カラフルだなー

 

 

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最上階の第7甲板にはコンセプト図や進水式の写真、協力企業のロゴ一覧なんかが展示されていた。

 

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出港時刻を前にデッキに登る。

 

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離岸。

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さよなら北海道。

出航後は翌日早いので個室に戻ってすぐ寝た。

 

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 翌朝4時45分、八戸に到着。

 

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陸奥湊駅前の朝市で朝食。

 

 

朝市で適当な具を購入し、食堂でご飯とみそ汁を購入。合計金額800円くらいだった。 

 

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具をご飯にのっけて海鮮丼にしていただく。

 

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港にほど近い葦毛崎へ。

展望台はかつて旧日本軍の軍事施設として利用されていたとか。

 

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北も南も絶景。しかしこの晴天を襟裳岬で得たかった。

この先は八戸道・東北道を経由していわきまでの帰路につくのが通常(?)なのですが、旅の名残を味わいたいのと、せっかく八戸に来たんだしこのまま海沿いに東北の南のはずれまで行くのも面白いかな~と思ったので、部分開通している三陸道を所々で利用しながら三陸海岸沿いを南下することにする。

 

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途中北山崎にも立ち寄る。道中、海沿いとは思えないような深い谷を渡ることも何度かあり、海に山の両面で三陸の険しさに触れた。

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北山崎では遠くにさんふらわあが見えた。

 

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宮古浄土ヶ浜。流石に観光客が多かった。

 

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昭和三陸津波チリ地震津波東日本大震災、それぞれの津波モニュメント


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昼飯はコンビニの菓子パンで済ませた。駐車場から遠くに釜石の大観音が見える。

 

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陸前高田。奇跡の一本松は駐車場からだいぶ歩く感じだったのでパス(この時点でかなりクタクタだったのだ)。

 

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気仙沼からはいよいよ高速でいわきまで一本。

 

三陸道、仙台東道路、常磐道を走り、ようやく福島に帰ってきた。

いわきの自宅に着いたのは夜7時ごろ。

 

いつかまた競走馬に会いに再訪したいです。そん時は晴れた襟裳岬を見れるといいな…。

*1:競走馬のふるさと案内所」HPでは直接訪問可とあったので訪問。本当はそれでも1回は案内所に問い合わせた方が良かったかな…