2022年9月に3泊4日で岩手県の花巻・遠野方面を旅行してきた。
花巻は「宮沢賢治のまち」、遠野は「遠野物語の舞台」とそれぞれ自他共に認める文化的イメージが固まっている為か、見応えのある博物館・記念館が整備されており、博物館巡りが楽しかった。そんな訳で旅行中に訪問した博物館を単独記事で扱うことにしたい(全体の旅行記はまた別の機会に書けたら書く)
まずは宮沢賢治記念館。
開館は1982年。常設展示は2015年にリニューアルされたらしくだいぶ新しい。
賢治の生涯や作品世界について「科学」「芸術」「宙(宇宙)」「祈(宗教)」「農」の5分野から迫る構成。中央には5分野を題材にした映像コーナーが置かれ、外周にはパネル展示と賢治ゆかりの品々が並ぶ。
自筆原稿は常設展の方には実物展示は少なく、大半はパネル展示。
誰でも知ってる名作童話が、原稿用紙でもないこんな紙きれに著されていたというのは迫力がある...
「浮世絵版画の話」の草稿。推敲の書き込みが半端ない。賢治は浮世絵収集が趣味だったそうですが、好きな分野になると早口でしゃべりだすオタクみがあって良い(?)
賢治愛用の品々。
企画展示室では特別展「心象スケッチ 春と修羅」が開催されており、「春と修羅」初版本に「永訣の朝」の直筆稿、「雨ニモマケズ」が記された手帳の現物(撮影不可)等、豪華な展示物が並んでいた。「春と修羅」本体に記された署名や宛名も賢治直筆と思うと凄みがある。
良く知られた童話作家としての側面だけでなく、詩人・農学者・農民芸術実践者・法華経徒等々、賢治の持つ多彩でディープな側面にどっぷり浸かることのできる展示だった。むしろ童話関係の展示はかなり控えめな印象で、そっちにどっぷり浸かりたいならお隣の宮沢賢治童話村へどうぞ、というスタンスだろうか。記念館のエントランスには賢治の童話を題材にした絵本が多数閲覧できるようになっていたので、童話関係がおざなりというわけでは決してないけれども。展示室内の写真を見れば分かる通りパネル展示の数がめちゃくちゃ多く、展示をじっくり眺めてたこともあって観終えるのに3時間かかった。