の続き。2日目。
朝食の後、しばしホテルのロビーで今後の予定を考える。当初の計画では、
1日目(9/2)…奈良公園で鹿と戯れながら興福寺とか東大寺見る
2日目(9/3)…天理の石上神宮と天理教本部、あと西ノ京のお寺を廻る
…という感じで考えていたのですが(ホテルは連泊)、このとき超大型の台風21号「チェービー」が日本に接近、4日に近畿地方に上陸することがほぼ確実になっていました。
出発の時点で、台風進路予想と睨めっこしながら旅程を見直す必要はあるな~とは考えていましたが、ここに至ってこのままだと4日は荒天で観光どころじゃあない、それどころか列車が止まって4日のうちにいわきへ帰れなくなるかも(5日は仕事)…という状況となり、もう3日目は諦めてその日のうちに近畿を離れようと決断。発車オーライネットで当日のシーガル号の座席状況を確認したところ、空席が残っていたのでその場で予約。部屋の荷物をまとめ、ホテルのフロントに2泊目をキャンセルしたい旨伝えました。料金先払い前提の格安プランだったので払い戻しはありませんでしたが仕方ない。キャリーバッグだけフロントに預かって貰い、とりあえず今日は丸一日楽しむことにします。夜行バスは京都駅22時14分発なので時間的余裕はだいぶある。
ホテルからJR奈良駅までは徒歩0分。
出発時刻はちょうど通勤ラッシュの頃。改札口から吐き出された人の波にちと尻込みもしましたが(写真は違います)、郊外行列車の混み具合は座れる程度で安心しました。
天理の街①
JR奈良駅から普通電車で30分弱で天理駅へ到着。ホームからは早くも天理教の「おやさとやかた」が見えます。
団体用改札口とか壁や柱に巡らされた言葉とか、駅構内から既に宗教都市に来たんだなあ、という気持ちになります。我ながら野次馬根性丸出しでちと気が引けますが…
駅前には古墳をモチーフにした交流スペースが広がっています。
まずは天理駅西口にある自転車屋さん「吉本サイクル」が有料でレンタサイクルをやっているので貸してもらう。
まずは石上神宮を目指し、天理本通をゆく。
アーケード街を進みます。少し時間が早いせいか開いているお店はまばら。
「ojiba」なんて書かれたフラッグが通りを飾っていたり、まことに天理教が町に溶け込んでいらっしゃる。
よくみるとアーケードの屋根に設えられているのも天理教の紋章っぽいですね。
途中、昔ながらの構えのお店を発見。どうやら造り酒屋で、天理教のお神酒を造っていらっしゃる所のようです。
国道に面した道にも立派なおやさとやかたが。
天理教ですなあ、という感じの系列出版社の横断幕をくぐり、アーケードの終点に出ると、
天理教の本部が目の前に現れ、その巨大さに圧倒されます。
実はこのときはあまり天理教本部の位置関係をあまり意識していなかったので、いきなりこの建物が見えたときにはすこし驚きました。
しばし自転車を止め、その威容を眺める。
ちなみに昔の写真だと本部の正面に「黒門」が写っていますが、こちらは老朽化のため2018年6月に解体されたそうです。
南側を見ると、遠くに天理参考館が入居している「おやさとやかた」が見えます。
天理教本部の前に、石上神宮への道標が控えめに置かれていたので、それに従ったもう少し東へ。
石上神宮の近くで見かけた「おやさとやかた」。なんと川を跨いで建てられています。教祖中山みきの言葉を元に、本部を中心とした870m四方に68棟の「おやさとやかた」を建て巡らす構想が今も継続中だそうですが、その計画の遠大さと川すら跨いでしまう力技に脱帽してしまいます。
奈良平野の東の縁までやってきました。ママチャリで坂道を頑張って上りきると、石上神宮に到着です。
石上神宮
社伝によると創建は崇神天皇7年。つまりは西暦に直すと何年なの?とWikipediaの関連記事を行ったり来たりしている内、そういうレベルの話ではないということに気付く。日本最古の神社のひとつであり、ヤマト政権の時代には軍事氏族である物部氏の氏神となり、政権の武器庫としての役割も担っていました。
駐車場の隅に自転車を停めて境内へ。
拝殿は国宝。白河天皇が宮中の神嘉殿を寄進したものと伝承されていますが、実際の建立年代は鎌倉時代らしいとのこと。元々この神社には本殿はなく(今は大正12年に建てられた本殿がある)、この拝殿が本殿と同等の扱いを受けていたとか。
本殿周辺には近寄れない雰囲気だったので行きませんでしたが、後から地図を見た感じだと廻廊の外側から行けたのかな。
拝殿の吊り灯籠を撮る。
こちらで所蔵している国宝としては七支刀が有名ですが、境内の一角に写真が展示されていました。
七支刀の展示の横には火消しポンプが置かれていました。明治の廃仏毀釈で廃寺になった内山永久寺から持ってきたものでしょうか。
その横には何やら古めかしい木箱が。解説文を読んでみたら南北朝時代の鎧櫃とあってヒエッとなりました。
南側には摂社として出雲建雄神社、猿田彦神社などがあります。
しばらく出雲建雄神社の社殿を「これも国宝か~」と思いながらパシャパシャ撮った後、社殿でなく手前にあった拝殿の方が国宝だったことに気付きました。こちらも内山永久寺の遺構(もと鎮守社の拝殿)で、1300年に建てられたものを大正時代にこちらに移したものとのこと。
摂社側からみた楼門。摂社がすこし高台にあるので見下ろす形になります。
なんとなく写真に撮っていた楼門の扁額。山県有朋の筆によるものと後から知りました。
あとこの神社を語る上では外せないのが、神の使いとして何羽も放し飼いされている鶏です。黒いやつ、白いやつなどいましたが、特にこの色合いの鶏は若冲の絵から出てきたようで美しかった。
社務所で売っていた御神鶏みくじ。中におみくじが入っています。かわいい。
開けてみたら大吉でした。やったね。
山の辺の道のスタート地点を少し覗いてから神社を後にします。鳥居周りは剪定作業中。
山の辺の道歩きも機会があればやってみたいですね。
神社を出て、再び天理の街なかへ。
しかし晴れたなー。明日台風が来るとは思えん。
おやさとやかたを遠くに眺める。横から見ると増築できるようになっているのが分かりますね。付随する巨大な煙突も印象的です。
川も跨げば道も跨ぐ。
天理参考館を観覧。世界の民俗・考古を中心に取り扱った非常に素晴らしい博物館でしたが詳しくは別記事で書きます。
ふたたび本部に近づいてみる。
信徒でなくても内部見学できたそうですが、今回は西ノ京の寺院を見る時間が足りなくなりそうだったのでパス。
翻っておやさとやかた。
宗教都市の偉容をまざまざと見せつけられました。天理参考館ももう少しじっくり見て回りたいし、また訪れる機会があるかもしれません。
天理市役所。
この後駅まで戻り、レンタサイクルを返却して、お昼ごはんは朝食べ過ぎたので駅のコンビニで済ませ、夜行バスの切符を発券した後で近鉄で西ノ京へ向かいました。続きはまた今度。