前回:
北海道上陸2日目。
朝ごはんは昨晩のうちにセイコーマートで買ってたやつ。
のんびり支度をして、8時45分に出発。ホテルから10分ほどの距離にあるブリーダーズスタリオンステーションへ向かう。
見学開始時間の9時ちょうどに到着。
夏のこの時間帯は既に放牧は終わっていて、厩舎に繋がれている種牡馬を見て回る見学スタイルになります。馬に近づきすぎない(軒下のアスファルト部分は侵入禁止)、馬を驚かせるような行動はしない等、牧場の方の注意を聞いた後、靴を消毒して厩舎へ。
まずはラブリーデイのもとへ。
自分が本格的に競馬を見はじめた2015年に強かった馬で、同年の宝塚記念・天皇賞(秋)の他に重賞を6勝しています。その前にも友達に誘われて競馬観戦に行った時によく現地で見かけていた(2013年有馬記念、2014年メトロポリタンステークス)こともあって、思い入れのある馬でした。今回北海道に行こうと思ったのも、一度この馬に会っておきたいというのがありました。初めて「推し」になった馬、競馬が好きになるきっかけになった馬と言えます。
種牡馬公開には牧場職員の方が立ち合っており、顔を見せてくれない馬はニンジンで誘い出してくれます。しかしラブリーデイはニンジンを口にするとさっさと首を引っ込めてしまうので、職員の方に「この野郎~」と愚痴られていました。現役時代は真面目でひたむきに走る馬というイメージでしたが、頭いいんだな(推しなので全てが許せる)。
目線いただきました。
ラブリーデイ以外にも、近年の重賞戦線を賑わせた名馬がずらり。
2012年のダービー馬・ディープブリランテ。
あとで見たらあかんべーが撮れてた。
こちらは2015年の2歳王者・リオンディーズ。
母は日米オークス制覇のシーザリオ、きょうだいにはエピファネイアにサートゥルナーリアの超良血馬。
何故か知らんけどずっと檻の縁にアゴを乗せていた。こうしてると可愛いと思われるの知ってんのかな。
グレーターロンドン。
2016~2018年にマイル戦線を賑わせた良血馬。顔がいい。
ビートを刻むグレーターロンドン pic.twitter.com/aaiZh1yTmz
— のり (@nori1104) 2019年8月22日
たまにブンブン首を振っていて可愛かった。
こちらはトーセンジョーダン。2011年の天皇賞(秋)勝ち馬。
ニンジンを出しても首を出してくれないのは横着してるのではなく、窪みの部分が高くで首を出しづらいらしいです。
トーセンジョーダンはおねむ pic.twitter.com/BW3vnGyjsK
— のり (@nori1104) 2019年8月22日
お疲れモードだったのか、後で近づいてみたら寝てました。
2011年のドバイワールドカップを制した、ヴィクトワールピサ。
2014年のマイルCSを制したダノンシャーク。こっち向いて…
厩舎前に頭絡が掛けられているのも良いですな。
メイン厩舎から少しはなれた厩舎には、ジャングルポケットとシンボリクリスエスが繋養されていました。
どちらの馬もなかなか顔を出してくれなかったけれど、出発直前になって姿を出してきてくれた。
シンボリクリスエスはこの年を最後に種牡馬を引退、余生を送るシンボリ牧場に移動したとのことで、会いに行ける最初で最後の機会でした。
およそ1時間弱、名馬の姿を間近で楽しんで次の目的地へ。ブリーダーズスタリオンから北上し、平取町に入る。
たのしい馬産地めぐり おわり
— のり (@nori1104) 2019年8月22日
引き続きたのしい史跡&博物館巡りをお楽しみください pic.twitter.com/T7ob5h9xla
町中心部の外れの山中にある「義経神社」へ。
2年前の北海道旅行で訪れた天塩神社あたりとは異なり、鎮守の森に囲まれた神社らしい神社。
祭神は源義経。なんで北海道に源義経が?という感じですが、1798年(寛政10年)に蝦夷地を調査に訪れた近藤重蔵が、アイヌが現地で崇拝していた英雄をきっとそれは源義経に違いない!と、仏師に作られた神像を与えて祀らせたのが始まりとのこと。
最近その神像を修復したらしく、参拝に合わせて公開されていました。
台座の裏には近藤重蔵の名前。
伝説に関してはほんまかいなという感じですが、騎兵戦術に長けた名将が祭神とあってか、社殿の中には馬主や生産者が奉納した幟がいくつも飾られており、今でも競馬関係者の尊崇を集めている様子。中には最近の重賞勝ち馬の名前なんかもあったりしました。
神社境内には「義経資料館」なる施設が設置されていたので、こちらも見学。
社務所然とした建物の内部に、義経の生涯や平取における義経伝説、近藤重蔵ら探検家の事績などがパネルで紹介されていた。
義経の蝦夷上陸伝説にちなんだ浮世絵が所々に展示されていて興味深かった。
アイヌが祭事とかに利用していたであろう漆器類もいくつか展示されていました。
駐車場にはアイヌの教化に貢献した首長の称徳碑が建立されていました。
あとで調べたらwikipediaに記事のある人物だった。文中にしれっと「土人」というワードがあるのは時代を感じる
あと油田の記念碑も興味深かった。昭和30年代に数年間採掘されていたらしい。
義経神社の後は再び北上。二風谷のアイヌ文化博物館を見に行く。
博物館周りは伝統的なアイヌの家屋がいくつも復元されていて集落みたいな雰囲気。建築文化保存のために博物館で定期的に復元を発注しているそうです。
博物館に入る。
アイヌ文化研究家の萱野茂氏が収集・復元制作した民俗資料が収蔵品の母体となっており、約900点が国の重要有形民俗文化財に指定されています。
木彫の文様が美しい。
この館は漫画「ゴールデンカムイ」に取材協力しており(巻末に名前が出てる)、漫画に登場する民具もちらほら見られます。もちろん他の民俗資料館にもこういった展示品はあるとは思いますが、ここだと「あっこれ漫画で見たわ」とすぐわかる感じです。
展示内容はアイヌの文化や伝統、それらの現在における伝承といったところに力点が置かれており、歴史的な解説は控えめでした。1点、杯と天目台(1年間漁場で労働した報酬がこれ1個だけだったとか)が近代の迫害の歴史として象徴的に展示されていました。
続いて、隣接する「沙流川歴史館」を見る。
二風谷ダム建設時に発掘調査されたチャシ・遺跡群などを中心に、平取の歴史が展示されていました。
流送の様子を再現した模型は興味深かった。
沙流川 pic.twitter.com/sZ9GJKziYL
— のり (@nori1104) 2019年8月22日
歴史館から沙流川を望む。
復元されたアイヌ家屋を見ながら駐車場に戻る。
向こうにあるのはイヨマンテ(熊送り)まで子熊を育てるオリ。
チセの一部は内部を見学できた。
駐車所に戻る。ちょうどお昼なのでご飯にしようと、道向かいに見えるアイヌ料理店へ。
お店の外でグループがご飯を食べていたので、お店の人に今から大丈夫ですかと声をかけてみる。すると「実は今日はやってないんですけど、ちょうど食材が余ってるので、それでよければ500円で出しますよ」との答え。どうやらこの日はお店は休みだったようですが、町主催のツアーイベントでの昼食場所として開けていた様子。恐縮しながらもちきび飯とシカ汁をいただく。シカ肉はとても柔らかかったし、もちきび飯も塩味が効いててとても美味しかった…
町の人のご厚意にあずかってしまったので、出発前にせめてもう少し町にお金を落とそうと「アイヌ工芸伝承館」を訪問。工芸品のコースターとアイヌ文様のマスキングテープを購入しました。
集落から少し離れた位置にある「旧マンロー邸」に立ち寄る。
1933年に建てられた住宅兼病院。今は北海道大学の所有です。
内部見学は要予約、しかも訪問時は何やら工事をしていたので、外観写真だけを取って退散。
続いてせっかくなので二風谷ダムにも立ち寄ってみる。
発掘されたチャシ跡は公園として整備されていた。
2時間半ほどの滞在で二風谷を出発。新冠へ向かう。
次回: