の続き。
天理教本部南のおやさとやかたに入居する「天理大学附属天理参考館」。
海外布教者育成のために設立された天理外国語学校(現在の天理大学)の「海外事情参考品室」が起源だそうで、世界各地の民俗資料・考古資料を豊富に揃えた、素晴らしい博物館でした。滞在時間はだいたい1時間でしたが、じっくり見ようと思えばその倍以上は必要だったかな。
ロビーではオルメカ石頭像のレプリカがお出迎え。
1階「世界の生活文化」
まずは民俗展示。アイヌ文化からスタート。
次いで朝鮮。日本のご近所から紹介していくスタイルかしら。
こちらは村里・寺院の入り口に魔除けとして立てられていたという「長生(チャンスン)標」。なかなかエキゾチック。
瓢箪(パガジ)でつくられた仮面。かわいい。
次は中国・台湾。こちらは台湾の人形芝居セット。
そういえば昔Twitterで流れてきた台湾のCGフル活用人形劇は格好良かった。
店先を飾る看板「幌子」の数々。取り扱う商品サービスを象ったもののほか、魚や蝙蝠もモチーフとして好まれたそうです(中国語でそれぞれ「裕」「福」に通ずるため)
東南アジアからはバリ島とボルネオ島の民俗がピックアップされてました。
こちらはバリ島の展示。門飾りの細かい彫刻に目を奪われました。
続いてインド。豪華な収納箱も鮮やかな儀礼用の傘も良い。
ニューギニアの仮面。
この他にはアジアの水辺文化やメキシコ・グァテマラ地域の展示もありました。
2階「移民と伝道」ほか
展示室内の階段を上って2階へ。まず設けられていたのが「移民と伝道」と題されたスペース。戦前の南北アメリカへの日系移民に関する展示でした。
館の設立目的を考えればこのテーマの展示があるのは納得なのですが、日系移民について常設展示でここまで力を入れている博物館も他にはそうそう無いのでは、と思えるくらいの充実した展示内容でした。
宗教家が入国禁止措置の例外だった為に伝道師の移民が盛んに行われたアメリカへの移民と、逆に宗教家の入国が許されなかった為に労働の傍らで伝道活動を行ったブラジルの対比が興味深い。
上の写真はブラジル移民が現地で作製した楽器類。天理教では祭典時に三味線や二胡等の楽器類を使うそうですが、農業労働者として入国した布教師は当然楽器類等は持ち込むことができず、やむを得ず現地で入手可能な部材で祭礼に必要な道具を取り揃えたとか。
真珠湾攻撃の翌朝に発行されたハワイの日本語新聞。2つの祖国同士の戦争という状況に直面しての悲壮な決意がにじみ出た社説が読ませます。
ブラジルの開墾住居の再現。
2階の残りのスペースは日本に関する民俗展示。
山車の模型をはじめとした祭礼や遊びに関する展示や、
竜骨車はじめとした生活用具が展示されていました。
関西私鉄の発展について触れられた交通関連の展示も面白かったです。
3階「世界の考古美術」
時間を気にしつつ3階へと上がる。こちらは考古資料の展示。
まずは日本。入り口には群馬県出土の重要文化財の埴輪2体が鎮座。
東日本大震災の復興支援と題して、東北関連の展示がちらほら。いわき市の貝塚から出土した遺物もあって目を惹きました。
古墳時代の鏡と副葬品の馬具。よく見ると写ってるの全部重要美術品だ。
日本の次は朝鮮半島。
細長い「磚」を積み上げて気づかれた「磚室墓」の再現。
帯金具みたいな精巧なやつはついつい見入ってしまう。新羅時代の印花文骨壷も柄が可愛らしくて良い。
中国
次いで中国。
彩陶!饕餮!玉!唐三彩!
とにかく展示品の一つ一つの質が良く、その気になれば丸一日滞在していても飽きないなと思える展示でした。また天理周辺を訪れる機会があったら是非再訪したいです。
3階ロビーには設けられた、参考館周辺の「布留遺跡」に関する展示。火葬墓から出土した海獣葡萄鏡が特に目を惹きました。
最後に企画展「中国の風俗人形」をざっと見。特にこの西瓜売りの人形が良かった。